都内某ホテルにて急遽セッティングされたこの対談。
余裕たっぷりに受け答えする床のしみに対し水筒を携えた男は
いささか緊張した佇まいであった。
椅子を用意しなかったので二人は終始立っていた。
水筒男(以下、水): 何億光年走り続けたのだろう、私は突如としてその常夏の、
渚のサンシャインステージに舞い降りました。
床のしみ(以下、床): 驚天動地の連続という感じですね。いえ、むしろその逆と言うか。
私の場合は豆腐なのですが、冬の波も立たない静かな湖が、
すうっとそのまま凍っていくというイメージに近いです。
水: 大型アウトレットモールがクワガタだらけなんですよ。
軍手しか売ってなくて、灰色の目をした従業員が徘徊している。
俺はこの場を支配しているんだ、支配しなければ遠くから見守っているんだ
という感覚。
床: 色々あって家業は継がない、と決めたんですが、それは次々に作られた
たんこぶのようなもので、虹から生える花の幻は機織り女の白昼夢のような
ものに過ぎなかったのです。笛ガム
水: 弁天の息継ぎにも同じことが言えますよね。
息継ぎの瞬間を撮影した写真は見るに耐えない。
オゾンのすき間からストローをさしこんで人間を吸う。
そこでアッと思って収益を差し引くと、微黒字。
床: 私は壁に空いた穴を隠すためにポスターで、液体を徐々に減らすと
いう意味でそこであえて窒息する係りなんですね。
雪合戦で決めました。そこで思いついたんですが、やっぱり健康だなと。
水: 庭の穴から穴へ一定の間隔でいのししが湧いては消えてゆきます。
そういった感覚、あるいは感覚の無意識への透析で、それを止める者が
交通整理のおじさんだった場合、それは阻止ではなく秩序への(生産的な)
脈動ということもままありませんか。
床: 毛虫野郎。おもゆ。少し広めの宇宙船にミューティレーションされて
あるべきところとかにこたつを要求する。
のど自慢大会でニットを編み出し、月から月へジャンプする。
尾を引くおいしさ。新発売。
水: 上から目線で申し訳ないですが、ポケットに小宇宙がある人がいて、
若き芽への嫉妬、神通力への憧れ、泣き腫らした朝は誰か隣にいてほ
いと思う気持ちなどで、ふすまを殴り、穴を開け、手を見ます。
電線を転がる芋を見ながら、安心なり、共感なりを得、人脈をつくり、
やがて大地に降る雨で再び芽吹こうと土の中で淡々と生命への
伏線を燃やします。
床: 堪忍して、堪忍して。丘でローブを羽織って、なびかせるために立つ。
みんなが同じ事を言っててくやしいけど、思ったことなのだから言うしかない。
妻が先日マーガリンにまみれて焼死しましたが、麦畑で少年と少女が出会い、
恋をし、お互いに成長しあうという感動巨編を予定しています。
水: まさにイルカのつくだ煮ですね。感情を押し殺し得なくもない。
くさりがまの紳士、みだらな英雄、内に秘めたダイナミックな男性性。
それらの織り成す駄菓子コーナーの主従関係を、春雨スープであっさりと
味付けしました。新発売。
床: さて、この対談も終わりに近付いてきましたが、校長、閉じられた鳥かごの中で
鳥だけが消えている場合、失われた質量はどこへ行くのかという疑問が残ります。
祖父はちらし寿司です。
水: 罪滅ぼしという言葉がありますが、罪への意識が消えても、罪そのものが
なくなるということは有り得ないわけですね、罪もその形跡も残り続ける。
だから、鳥かごの中の鳥が消えたとしても、それは私たちの中の
鳥への意識がなくなっただけで、鳥そのもの、そして鳥の質量は
相変わらずそこにあり続けるということです。永遠に、永遠に。
床: ありがとうございました。
水: ありがとうございました。